「石西礁湖サンゴ礁基金」がサトウキビの栽培方式の転換に助成金(+2010年八重山旅行記?予告編)

 2010/07/05のエントリーでようやく昨年夏の八重山家族旅行のご報告を終えたのですが(^_^;;、そこから二ヶ月、このエントリーをアップするまでの間に、今年もまた八重山に一家で旅行をして、しかも既に自宅へと帰り着いてから2週間も過ぎてしまいました(苦笑)。

で、今年の八重山旅行は昨年にも増して「盛りだくさん」の内容で、このブログにもアップしなければならない貴重な経験を沢山させていただいたのですが、まあそれはまたおいおいアップして行くとして(←また後回しかよ!苦笑)、とりあえず今回は、その八重山旅行のプロローグとも言うべき、サンゴ礁保全活動に関連する動きの新聞報道から、ご紹介したいと思います。

と言っても、実は報道されてから既に1ヶ月以上も経ってしまったのですが(^_^;;、以前、この『サンゴ礁年漂流記』でもご紹介した(→こちら)「石西礁湖サンゴ礁基金」から、サンゴ礁保全の陸域対策の一つとして、サトウキビの栽培方法を変更するための普及活動に助成金を支出することが決定したというのです。

詳しい内容については、以下の地元新聞の報道等へのリンクをご覧下さい。

石西礁湖サンゴ礁基金活動報告「赤土対策としてサトウキビの株だし栽培を促します」

キビの株出し栽培普及へ助成 石西礁湖協議会 (2010/07/31・八重山毎日新聞)


 これはたいへん意義深いことですよね。

既にこの「石西礁湖サンゴ礁基金」をご紹介した2009/11/02のエントリーでも触れていますから、私のような者が今さら繰り返すことではないのですが、サンゴの白化にしてもオニヒトデの大発生にしても、単に海の中ばかりに原因と結果があるのではなく、むしろその海に接した陸域での人間の活動に大きく影響されていることは、間違いのない事実です。

であれば実は、サンゴ礁という海の中の環境を良くしていこうとするのならば、主な対策は海の中で行なわれることよりもむしろ、そこに大きな影響を与えている陸上でこそ、行なわれなければならない。それなのに実際には、今まではその(本来最も重要であるはずの)「陸域対策」は、後回し後回しにされて来ました。それは決して「陸域対策を軽視して来た。」とか、あるいは戦略的に「陸域対策よりも海域対策を優先して来た。」というのではなくて(それならばそれでそれも一つの「選択」の結果ですから、それなりに説得力のある決定だとは思うのですが)、むしろある種の“政治的な”事情だったり、あるいは、お役所に特有の、いわゆる“縦割り行政”の影響だったりしたのではないでしょうか。

ところがそんな人間様の“事情”や“都合”は、サンゴもそこに共生する様々な生き物も、オニヒトデも(^_^;;、少しも配慮してくれません。人間が自分たちの“事情”や“都合”でがんじがらめになっているのを尻目に、陸域からの影響で変化する海域の環境に応じて、勝手に(?(^_^;;)増えたり減ったり、あるいは滅んだりしてしまう。

それを「困った」と思うのであれば、私たちに必要なことはそうした人間様の“事情”や“都合”を優先するのではなく、海の生き物の状況を冷静に判断して、それに合わせて柔軟に対策を実施していくこと他にはないのではないでしょうか。つまり柔軟性と機動性とが必要になる。
(自然再生に不可欠な「順応的管理/Adaptive Management」の本質は、この柔軟性と機動性と、その前提となる継続的モニタリングにあると私は考えます。)

ところが世の中一般に、この「柔軟性と機動性」の対極にあるのが「お役所仕事」でありまして…(^_^;;。

いや、私は別にお役所のお役人の悪口を言いたいわけではないんですけどね(苦笑)。それは言ってもしょうがない部分もあると思いますし、お役所の仕事が融通が利かないというのは(世間にありふれた批判ではありますが)、実はそれはそれで意味のあることでもあるとすら思います(だってお役所の仕事で融通が利くというのは、つまりは公権力が恣意的に運用されることと表裏一体ですから)。

しかしお役所の仕事が本質的にそのように硬直的で機動性を欠いたものにならざるを得ないのであれば、自然を相手に行動を起こす時には、そのお役所の硬直性や機動性のなさを前提に、より柔軟で機動的に活動できるスキームを整えておくこともまた、必要なことでしょう。もちろん、もともと「石西礁湖自然再生協議会」という組織自体がお役所の組織でないということの意味はそこにあるはずですが、今回、その自然再生協議会の活動を資金面からバックアップしていくための枠組みとして整備された「石西礁湖サンゴ礁基金」が、これまでは中々活動を充実させることが出来なかった陸域対策に向けて助成の幅を広げて行ったというのは、実に重要な意味を持つことだと思います。

石西礁湖サンゴ礁基金」や「石西礁湖自然再生協議会」には、これからもどんどん、従来の“縦割り行政”の感覚から言えば「横紙破り」ともいえるような感覚で、縦横無尽に、活動の幅を広げたり充実させたりして行っていただきたいものです。
(いやもちろん、「横紙破り」をすること自体が目的なのではなくて、「サンゴ礁保全」と言う目的のためには、「横紙」を破ることにも躊躇しないでもらいたいものだという意味ではありますが…笑)

ただまあ、とは言え、実はその「石西礁湖サンゴ礁基金」に関しても、「何もかも順風満帆。問題なし。」ではないことは当然ですね。

私も以前のエントリーでは

>2009年の9/30時点で集まったお金は、わずか17件、12万円程度のようです。
>ちょっと寂しすぎる…(苦笑)。

と、まるで馬鹿にした様な書き方をしましたけれども(関係者の皆様、ゴメンナサイm(_*_)m。)、その後の募金は2010/06/30現在では、106万円にまで増えているようです。今回の「サトウキビの株だし栽培」への助成に関しても、資金が増えたからこそ可能になったことなわけで、その意味では関係者各位のご努力には改めて敬意を表したいと思いますが、しかし、もちろん、これで満足するわけには行きません。八重山のサンゴ礁保全をより協力に推し進めていくためには、もっともっと、10倍、100倍の資金が集まるように、基金への寄付の仕組みづくりやコミュニケーションの方法を、工夫して行く必要があるでしょう。

もちろん、少ない資金の中でボランタリーな運営がされているわけですから、その中で沢山のお金を集めることが簡単ではないことは理解しますが、そのような中でもなんとか工夫を重ねて、より良いものにして行って欲しいものだと思います。

で、実は今回の私の八重山旅行では、色々なご縁で「石西礁湖サンゴ礁基金」の関係者の方に直接、お眼に掛かることが出来ましたので、公設市場3Fのいちば食堂で中身汁定食などいただきながら(笑)、基金についてのお話を聞かせていただいく機会を得ることが出来ました。
(だからこそ本当に、「盛りだくさん」の旅だったのです。皆様、その説は大変お世話になりました&ありがとうございましたm(_*_)m。)

そして幸い?、私の前回にエントリーに関しても直接のお叱りはいただきませんでしたので(まあ内心では「コノヤロー!」とお感じになっていたかも知れませんが(^_^;;)もしこれからも、私に出来ることや思いつくことがあれば、どんどんご提案させていたきたいと思い、そのことをお約束して帰って来ました。

だからと言ってもちろん、私が、今すぐに募金額を10倍、20倍に増やす確実な方法を知っているわけはないですけどね(残念ながら(^_^;;)。また基金の実際の運営状況を良く知らない私の思いつくアイデアなど、実際には役に立たないものぱかりでしょう。
けれどもそれはそれで、基金の皆さんの方で捨てていただければ良いわけですから、中には少しは役に立つものや、ヒントになることがあるかもしれません。そうして私なりのアイデアを出させていただくことも、私にとってのサンゴ礁保全活動の一つと考えて、せいぜい励ましていただきたいと思います。ですので(些かご迷惑かも知れませんが(^_^;;)これからもどうぞ、よろしくお願いいたしますm(_*_)m。

 * * *

で、さて、ここで話題を一番最初に戻して、「サトウキビの栽培方式の変更(株出し栽培への転換)」なのですが…。

サトウキビの「株出し」栽培への転換が、どうしてサンゴ礁保全につながるのかと言うと、もちろん、直接的にはその方がサトウキビ畑からの赤土の流出(=川&海域への赤土の流入)を大幅に抑制できるからで、ご紹介した八重山毎日新聞の記事でも、その辺りまでは説明されていますよね。

でも遡って、なぜ現在「夏植え」が八重山で主流の栽培方法なのかと言うと、実は歴史を遡れば、かつては赤土流出の多い「夏植え」よりも赤土流出の少ない「株出し」の方が主流だった時代があったらしいのです。(1960年代には「株出し」が60%以上。これに対して現在では「夏植え」が85%になっています。)

それがどうして赤土問題を引き起こす可能性の高い「夏植え」ばかりになってしまったかと言うと、ちょうど沖縄の本土復帰の頃、1971年に一つのターニングポイントがあって、それまで使用していた環境残留性の高い農薬が使えなくなったので、「株出し」では病虫害を抑えることが難しくなったことが一つの理由として挙げられるのだとか。歴史的経緯があるんですね。

それが近年、新しい農薬や病虫害対策の開発によって「株出し」でもサトウキビの病虫害が防げるようになったものですから、それであれば実は「夏植え」よりも「株出し」の方が農家の方の実収入も上がるらしく、そこで今ではサトウキビ栽培関係者の多くも「株出し」への転換を促進して行きたいという考え方にはなっているのだそうです。
しかしそれには新しい機械なども使わなければならない。当然、そのためのお金が必要になる。そこでその資金を「石西礁湖サンゴ礁基金」が助成して行こうというのが、今回の決定なのだということでした。

この辺のお話は非常に面白くて、実は地元新聞の「八重山日報」では、その辺の経緯も詳しく、新聞1ページ全15段を使って解説されていたのですが、残念ながらWEBサイト版には掲載されていないようですし、八重山毎日ではそこまで詳しくは解説されていません。

八重山日報 

これがその、八重山日報の紙面(いちば食堂にて)

でもこうした背景を知れば知るほど、「石西礁湖サンゴ礁基金」がサトウキビの栽培方法の転換へ助成することの価値が理解できると思いましたので、今回の『サンゴ礁年漂流記』では、この「株出し栽培」への転換への助成を提案した、石西礁湖自然再生協議会委員(陸域対策グループ)の干川明さんにお願いをしまして、干川さんが作成された資料(サンゴ礁基金^提出されたもの)を、転載させていただく許可を得ました。

ここから何を読み取るかは各個人の自由ですし、また私のような人間があれこれと、知ったかぶりをするべきテーマでもないですから(^_^;;、私もこれ以上はコメントを付けませんが、干川さんが作成された資料を拝見しますと、本当に、八重山のサンゴ礁が、海の中だけではない様々な条件や歴史的経緯によって現在の状況になっており、またそれらの様々な複雑な条件を変えて行くことが、八重山のサンゴ礁の将来を決めるのだということが、良く分かるように思います。またそこから、八重山のサンゴ礁に関係する「海と陸との繋がり」に、様々に思いを巡らせることも出来るでしょう。

海の生き物の話は出てきませんから、あまり馴染みのない方もいらっしゃるかもしれませんが、非常に勉強になる内容だと思いますので、このエントリーに興味を持った方はもちろん、持たなかった方(は、多分ここまで読まないので難しいかもしれませんが(^_^;;)も、是非、ご覧下さい。

※こちら必見↓

石西礁湖自然再生協議会サンゴ礁基金 陸域対策


(また今回、資料の掲載に快く同意してくださった干川さんには、心から感謝いたします。ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。)

しかしまあ、このこと一つとっても、今回の八重山旅行は本当に、例年にも増して刺激的で、面白い旅行でしたねぇ…(^_^;;。ここでご紹介したいと思うことを、山ほど抱えて帰ってきました。

今年はいつもの黒島、石垣島に加えて、前回の「石垣島のビジターセンター」のエントリーでも触れた通り、竹富島にも足を伸ばして(日帰りですが、多分30年ぶり(^_^;;)、見聞を広めて参りましたので、おそらく、

1.黒島編
黒島ビジターセンター爬龍船黒島研究所、ほか)
2.竹富島編竹富島ビジターセンターと観光、ほか)
3.八重山漁協サンゴ養殖研究編サンゴ養殖体験底地ビーチの休憩施設、ほか)
4.石垣島ネイチャーガイド編ちびオニヒトデ退治ほか)
5.その他の石垣島編環境省モニタリングセンターしらほサンゴ村ほか)

と、最低でも5回分くらいのエントリーに分けないと、とてもご報告が終わらない感じです。
(実際それくらいに分けないと、実は私自身の頭の中の整理が付かないですし…。苦笑)

そんな状況ですので、また昨年同様(というよりも昨年よりさらに大幅に?(^_^;;)、時間は掛かるとは思いますが、出来る限り早くアップして行きたいという意志「だけ」は、ありますので、どうぞ皆様、気を長〜くして(^_^;;、お待ち下さい。よろしくお願いいたしますm(_*_)m。

* * * しつこく【 P R 】(^_^;; * * *

海に感謝を!『二つのゴミ袋運動』

『二つのゴミ袋運動』にご協力・ご参加をお願いします!
みんなで少しずつ、勝手にゴミ拾いをすることで、
わずかずつでもキレイな海を取り戻しましょう。

* * * 【 P R 】 * * *


PS.

ところがですねぇ…(´・ω・`)。

今回の旅、ものすごく面白いことが沢山あって、写真もまた沢山撮って来たのですが、途中でデジカメのメモリーカードの調子が悪くなり、撮った写真やムービーの半数が、読み取れなくなってしまいました(泣)。

サムネイル表示なら出てくるのにいざカードからデータをコピーしようとすると出来なかったり、一面グレーに変わってしまったりと、どうやらファイルが部分的にエラーになっている様子なんですけどね。折角撮った写真もどこまでお見せすることが出来るか…。その点だけは残念な旅でした。
まあその分、天候にも恵まれましたし、「そこに今回の旅行の災いが集まってくれてたんでしょう。」と言って下さる方もいて、「なるほど。」と納得していたりもすることはするのですが…(´・ω・`)。

PS2.

で、サンゴ礁保全とは直接関係ないのですが(^_^;;、実は今回、黒島でダイビング中にマンタに遭遇しまして、素晴らしい宙返りの様子をムービー撮影することが出来ましたので、YouTubeにアップしたものをこちらにも貼り付けておきます。
このファイルも実はブッ壊れてしまったのですが、何とか救出することが出来ました…。




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