『石垣市海洋基本計画』がパブコメ実施中


遅くなりましたが謹賀新年。今年もよろしくお願いしますm(_*_)m。

先日、石垣市のホームページを見て気付いたのですが、『石垣市海洋基本計画』の素案が公表されて、パブリックコメント(意見募集)が実施されていました。意見の受付は2013/02/16(土)まで(↓)。

石垣市海洋基本計画(素案)に関するパブリックコメント

まだちゃんと読んでいなくて、ざっと流し読みしたただけなのですが、良いことが書いてある部分もあれば、「なんじゃこれ?」と思う部分もあります(笑)。

多くの方がご存知のように、石垣市に隣接する「石西礁湖」は、日本列島南岸の黒潮影響域全体にサンゴ礁生態系で生産される様々な生物&非生物を供給する機能を持っている、日本最大のサンゴ礁です。ですからこの『石垣市海洋基本計画』は、その「石西礁湖」の生態系の健全性の維持や、ひいては、日本列島南岸の沿岸域の生態系の健全性の維持に、非常に大きな影響がある計画だとも言えます。全体で80ページちょっと。一般生活者やビジネスマンの感覚からすると、非常に膨大で手渡されても中身を読む気にならないボリュームですが(これが普通のビジネスの現場なら、「まず要約を作れよ」と言われるレベル。苦笑)、しかし行政の資料としてはむしろスリムなくらいでしょう。石垣市民に限らず、是非より広い地域に住む、より多くの方々に、幅広く興味・関心を持っていただいて、多くの意見を提出していただきたいものだと思います。

ただ私のような人間から言わせると、最初の8ページくらい、「施策項目」までを読んだだけでも、「この『計画』には大きな欠陥がある。」と感じます。なぜならこの『石垣市海洋基本計画』の中には、この『計画』そのものの市民への周知や、その内容の普及・啓発に関する施策が盛り込まれていないからです。

ところがその一方で、「はじめに」を見ても、「石垣市海洋基本計画の理念」を見ても、この『石垣市海洋基本計画』では、

 > 「市民と協働して」「市民、企業、および行政が連携・協働して進め」(はじめに)
 > 「市民協働により」(理念)

などの表現で、この『計画』が行政単独で行われるべきものでなく、市民や企業等との協働によって実施されるべきものであることが明記されています。それどころか、その「はじめに」や「理念」のすぐ後には「石垣市と市民の責務」という項目が続き(P4)、そこでは

 > 石垣市の海洋に関する施策の策定および実施に積極的に参加し、協力する

ことが、「石垣市民の責務」であるとまで規定されて強調されている。また少し後の「基本方針」の部分(P7)にも、

 > 周辺海域の自然を守り、資源を管理、活用する

ことを定めた々爐紡海項として、

 > (自然と文化の)継承・啓発を積極的に進める

ことが、「基本方針」の3つの柱の一つとして掲げられています(もう一つの「柱」は国際交流の推進)。

それなのに、そもそも次ページ(P8)に掲げられた「施策項目」の中に、「市民への普及・啓発」のような項目がないですし、P10以下の「第2編 第2章 施策内容」を見ていっても、石垣市民を対象とした広報や、石垣市民向けの普及啓発計画などに触れられている部分がないのです。

強いて「関連するかな?」と思われる部分をピックアップすると、P42、P45には、

 > 多様な観光メニューを多様なルート(略)を通じて発信する。(P42)
 > 国内外への戦略的PR(P45)

などの文言が見受けられますが、これはいずれも観光振興に関して触れられたもので、石垣市民を対象とした内容ではありません。またP52には、わざわざ、

 > 石垣市海洋基本計画の国内外への発信

という項目まで立てられているのに、その内容を見ていくと、

 > 「石垣市海洋基本計画」を積極的に海外に発信すること自体が、
 > 「海洋都市いしがき」の国際貢献となる

と書かれていて、ここでも、肝心の「石垣市民向けの発信」が抜け落ちている始末です(苦笑)。

この『石垣市海洋基本計画』のパブコメは(上述の通り)2/16までで、その後はパブコメで提出された意見の内容を検討した上で、今年度中には策定終了する予定だそうですが、果たして石垣市は、4/1以降、新しく策定されたこの『計画』を、どのようにして石垣市民に周知・徹底していくつもりなのでしょうか?
当然、市役所等での閲覧やホームページへの掲載は行われるでしょう。しかし石垣市としてはそれだけで、それだけで、この『計画』に唄われた「市民協働」が実現し、この『計画』への「積極的な参加・協力」という「市民の責務」が果たされ、基本方針として掲げられた「自然と文化の継承・啓発」が達成されると考えているのでしょうか?
あるいは、石垣市の市民はみんな、定期的に市のホームページなどにアクセスして、市が策定した全ての施策計画などを熟読し、理解することが、『計画』とは異なる市の条例などで定められているんでしょうか?
(まあ、それならそれである意味「素晴らしい」ですけど…(^_^;;)

実は同じようなことは今回の石垣市の『海洋基本計画』に限らなくて、国の政策から地方自治体の独自の施策まで、最近は「市民(国民)参加」や「市民(国民)協働」をうたうことが非常に増えた割には、「じゃあ本当に市民(国民)ひとりひとりの、自主的・積極的参加を促すためには、何が必要なのか?」について考えられていないケースが非常に多いように感じます。国や行政が勝手に「市民協働でやるんだ!」「市民参加が必要だ!」と言っているだけで、そのことをちっとも、肝心の市民や国民に伝えようとしていない。あるいは、もしかしたら昔の「お上」の感覚が根強く残っているのかもしれません。国や行政が「市民協働だ。国民参加だ。」と言えば、何もしなくても自動的に、市民・国民は動くのが当然。とでも考えているのでしょうか?
(まあ実際、中央官庁の“えらいさん”や、先日国会議員に転進したどこかの地方自治体の元首長などは、それくらいの感覚でいるのかもしれませんが…。苦笑)

しかし実際には、市民参加のカギは広報・PRとそれによる啓発にあります

本当に市民の自主的・積極的な参加や、市民協働を成功させたいのであれば、広報・PRや普及・啓発のための戦略や計画は、全ての行政施策・計画に不可欠の要素であり、また納税者への説明責任を果たし、計画の遂行への社会的承認を得るためにも、広報・PR/普及・啓発は、最重要の政策課題であるのです。

そこが理解されていない。

結局、どのような「計画」や「戦略」を立ても、その意義や重要性・必要性が市民に伝わらなければ、「絵に描いた餅」にすらならなりません。ただのゴミ。もちろん、それでも行政とのかかわりの深い一部の業界関係者などにとっては、「市民への周知徹底」などは不要で、むしろ知られていないくらいの方がありがたいでしょう。市民の多くが知らないところで市の「計画」が作られれば、その「計画」から発生する様々な事業機会を自分たちで独占することが出来る。だからこれまでの地方行政では(国の行政でも同じですが)特定の業界団体や事業者集団だけが行政当局と深く結びついて、行政側もそれで良いとしていたし、市民の側もそのことに対して鈍感でいました。

しかし最早そういう時代ではありませんからね。

しかも今回の『石垣市海洋基本計画』では、施策項目の一番最初に「沿岸域の総合管理」が挙げられています。これは実際に海域を利用している漁業者や観光業者だけに関わる問題ではない。『計画』の中で実際に「赤土流出防止対策」や「生活排水流出・浄化対策」等にまで触れられているように、石垣市に暮らす市民の一人ひとりに密接に関連した問題なのです。であればますます、(観光客や海外に発信する前に、まず「他ならぬ石垣市民に向けて、どのように広報し、普及&啓発を図るか」が、もっともっと真剣に考えられなければならない。私はそう思います。

(もちろん、私のような観光客への広報やPRも大切なテーマですよ。しかし観光客を受け入れる側の石垣市民が自分たちの『海洋基本計画』を理解していないのでは、結局、来訪した観光客は裏切られることになります。すると結局は、却って石垣市の評判は悪くなりますし、地域としてのブランド価値も損なわれることになるでしょう。ブランド価値とは決して、広告や宣伝によって促成される虚像などではありません。ブランド自身の絶えざる自覚と自省を通じて築き上げられるものなのですから。)

発表された『石垣市海洋基本計画(素案)』を読んで、私がまず一番気になったのはこの部分でした。その他にもいくつか、「ここはこうした方が良いのではないか?」とか「こういう視点が必要なのではないか?」と感じた部分がありましたので、これから3週間ばかりの間、何とか時間を作って読み込んで、2/16の締め切りまでには是非、私もパブリックコメントに意見提出をしたいと考えています。

(そもそも「海洋基本計画」なのですから、その中に前回のエントリーで触れた「水族館建設計画」に触れられても良いと思うし、また現在策定中の水族館の「基本構想」は、この『石垣市海洋基本計画』との整合性が確保され、『計画』の中にもきちんと位置づけ得るものにすべきだとも思いますしね。)

ともあれ、前回のエントリー同様、この『石垣市海洋基本計画』に対しても、引き続き皆様の注目をお願いしたいと思います。是非すばらしい『基本計画』になるように、積極的に働きかけていきましょう。



◆ 追記1;

前回のエントリーの水族館建設計画にも言えることなのですが、石垣市の諸計画がついつい、「石垣市民にどう働きかけるか」ではなく、観光客などの「石垣市民以外の人々にどう働きかけるか」にばかり、目を向けている傾向があるように思えて仕方がありません。そして同じことは石垣市だけの問題ではない。多くの地方自治体が今後の地域活性化の戦略を検討している中で、視線がついつい、いわば「外向け」になり、地域活性化の、本来は“主役”とならなければならないはずの市民、地域住民に向けられていないという状況があるのではないでしょうか?

しかしそのような視点で、「外」ばかり向いている計画は、一時的な“賑わい”や“ブーム”を作り出すことに成功しても、長続きしません。やがて更なる地域の衰退を招く結果になる。

そうではなくて、地域の活性化は地域住民に向け、地域住民を対象としたものでなければならないと、私は考えています。その良い実例が、山口県萩市の道の駅・『萩しーまーと』。全国の「道の駅」の中でも有数の売り上げを上げ、しかも利用者の大半が観光客でなく、地元住民であるということで有名になっていますが、この『萩しーまーと』も、計画当初は、市外から来遊する観光客を主たるターゲットと考えた施設計画が立てられていたのだそうです。

その計画を破棄させ、萩市民をターゲットに新たなビジネスモデルを確立して成果を挙げたのが、『萩しーまーと』中澤さかな駅長(運営主体の専務理事)。
水産資源管理をご専門とする三重大学の勝川俊雄先生のWEBサイトで、その中澤店長へのインタビューが公開されていますので、水産関連の方だけでなく、地域活性化や、あるいはマーケティング全般にご興味のある方は、是非ご覧下さい(↓)。

なぜ、道の駅「萩しーまーと」では、地魚が飛ぶように売れるのか?

(特に 2:45-3:25 や 3:45-4:15 の前後は必聴。これが広告コミュニケーションの基本であり、マーケティングの本質です。これが「マーケティングの本質」であると言われて意味が分からない 人はマーケティングの本質を理解していないと、私は自信を持って断言できる。)

また上記の勝川先生のWEBサイトの中でも紹介されていますが、『萩しーまーと』のビジネスモデルにご興味・ご関心をもった方は是非、(財)商工総合研究所が募集した「平成19年度中小企業組織活動懸賞レポート」で入選作品となった中澤駅長のレポートもご覧下さい。大変有益な示唆に富んでいます。

道の駅/萩しーまーと ビジネスモデル


全国のあちこちに、『萩しーまーと』の中澤駅長のような視線と発想と行動力をもつた人々が、もっともっと現れて、地域地域で活躍してくれるようになると良いですね。


◆ 追記2;

この『石垣市海洋基本計画』について、地元新聞はどのような報道をしているのかな?と思って「八重山毎日新聞」と「八重山日報」のWEBサイトを見たのですが、両紙とも『石垣市海洋基本計画(素案)』の中に盛り込まれた「尖閣諸島における取り組み」(P69以降)を中心とした報道となっているようです。正直、かなりがっかりしました。(腹が立つので、敢えて記事へのリンクは貼りませんが。)

確かに、この『石垣市海洋基本計画(素案)』の中で、「尖閣諸島における取り組み」が「施策項目」とされた7項目の中の一つとして取り上げられているのは、非常に大きな出来事ではあります。しかしこの『計画』は副題に「八重山海域における海洋の保全・利活用」とあるように、石垣市および竹富町、与那国町を含めた八重山海域全体の海洋政策の基本を定めたものです。その中で尖閣諸島周辺海域の保全と利活用の問題は、所詮「One of them」に過ぎない。もちろん、それは大きな課題の一つでしょうけれども(だからこそわざわざ、「施策項目」の中に取り上げられている)、実際に石垣島に住んで日々の暮らしを営んでいる人々にとっては、もっともっと身近で重要な課題がたくさん、『計画』の中に取り上げられています

全国紙などの本土メディアや、あるいはせいぜい琉球新報や沖縄タイムスなど、本当の「地元メディア」ではないメディアが『計画(素案)』の尖閣関連項目に注目するのは、ある程度は仕方ない部分もあるでしょう。それらの報道機関の読者や視聴者は、『計画』と、深く多様な関係を持つ地元地域住民ではないからです。そのようなメディアが、いわば“他所者(よそもの)”の視点で、地域住民の方々とは異なる視点から報道するのは、ある程度は仕方がない。

しかし地元メディアである「八重山毎日」や「八重山日報」までが、そうした“他所者(よそもの)”=「外部メディア」と同じ視点、同じ報道姿勢で良いのでしょうか?そうではなくて、もっともっと地元の皆さんに寄り添い、地元の皆さんにとって大切なことを伝えるのが、地元メディアの役割なのではないでしょうか?

「毎日」「日報」の関係者の方には、この機会に是非、自社の報道姿勢を見つめ直していただいて、もっともっと地元住民の視点で、地元住民にとって有益な報道を心がけていたただくように、心から願います。そうでなければ、このインターネットの発達した時代ですから、地方紙が存在する意味がありません。

引き続き、『石垣市海洋基本計画』に注目していただいて、石垣市民にこの『計画』の周知と徹底をしていただけるように、そして積極的な市民参加と協働が実現するように、きちんと報道していただきたいと思います。ここに長々と述べてきたように、「市民参加」や「市民協働」が実現するには、『計画』の普及・啓発が最大の課題です。であれば地元メディアはその普及・啓発の“主役”に他ならない。

それだけの責任感と自覚を持って、報道していただきたいと思います。





* * * しつこく【 P R 】(^_^;; * * *

海に感謝を!『二つのゴミ袋運動』

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わずかずつでもキレイな海を取り戻しましょう。

* * * 【 P R 】 * * *






 

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