絶滅危惧種の味

さて、6月も終わりになりまして、世の中にこれだけニホンウナギの絶滅危惧の話題が出ているのに、今年も牛丼屋で安売りの「うな丼」が発売されて話題になっています。腹立たしいこと、この上ありません。

で、たまたまWEBサイトで目についた吉野家のサイトを見に行ってみたのですが、そこに書かれているコピーを見て、また文字通り唖然としました。
そこに掲出されていた広告ポスターの画像がこれです(↓)。


吉野家うな丼ポスター2013



真剣に絶滅が心配されている野生生物を素材としたメニューの広告に「百年変わらない、うまさだけを。」とは、どの口がそんなことを言うのでしょうか。盗人猛々しいにもほどがある。

こんな風にウナギを喰い続けていたら、百年後にはきっとウナギは絶滅しているでしょう。少なくとも普通の人間が口にすることが出来る食材ではなくなっていることは確実です。その広告に「百年変わらない、うまさだけを。」などと書いてしまうのは、あまりにも無神経と言うか、本当に呆れてしまいました。もし欧米でこんな広告やポスターを掲出したとしたら、これはもう確実に「グリーンウォッシング」として市民団体に吊し上げられるレベルです。
(※「グリーンウォッシング」という言葉になじみがないかは、こちらを参照
                       → Wikipedia:グリーンウォッシング

しかし日本の場合には、悲しいかな、広告を出す牛丼屋自身も自社の欺瞞に気付いていないのでしょうね。
(つまり広告主自身が、ウナギが絶滅危惧であることに対する認識が欠けていて「百年後にはウナギが絶滅しているかもしれない」ということを想像できず、従ってこれも決して意図的なものではない。もちろん、広告主自身に“悪気”がなかったとしても、欧米の市民団体はそれで許してくれるほど甘くはないですが(^_^;;)

そして市民の側でも、これが「おかしなことだ」と気付く者が少ないですし、またたとえ少数の者が気付いたとしても、日本の市民団体には、大手企業に異議申し立てをするほどの実力がありません。その上、マスコミは市民以上にウナギの絶滅への関心が低く、むしろ安いウナギを提供する食品業界を礼賛しているような始末なのですから、誰かが「これはおかしい」と声を上げたところで、多くの人々は、「また一部の極端な“エコきちがい”?が、どうでも良いことを取り立てて大騒ぎしている。」としか感じないことでしょう。

これはもう本当に末期症状ですね。こんなものを食べ比べて喜んでいるようなメディアの連中(例えば→こちらなど)には、心の底から呪詛の言葉を浴びせてやりたくなります。

で、そんな絶望的な状況の中ではありますが、今年の土用の丑の日、7/22に、「東アジア鰻資源協議会」の主催で、公開シンポジウムが開催されます。タイトルは『ウナギの持続的利用は可能か−うな丼の未来』(↓)。


(出所:http://easec.info/EASEC_WEB/


平日日中の開催ですので、参加が難しい人は多いでしょうし、何より私自身も参加出来るかどうか分からないのですが、講演者のお一人である三重大学の勝川俊雄先生(水産資源管理・資源解析)曰く、

> このシンポジウムは豪華です。日本のウナギ研究者の第一人者が勢揃い。
> レッドリストのこと、完全養殖のこと、東南アジアのウナギのことなど、ウナギの
> 全体図がわかります。

ということです(→こちら)から、出来るだけ多くの方に参加していただきたいものです。

このままで行けば世界のウナギ資源の枯渇(さらにはその種の絶滅)には、私たちが最大の責任を負うことになります。そういうことを知らぬままに、乱獲を煽る流通業者や大手マスコミに乗せられてはいけません。お時間の許す方には、一部だけでも良いのでぜひ参加していただいて、世界のウナギ資源の危機的な現状をご理解いただき、生物種としてのウナギと、そのウナギを食する日本の鰻食文化の保全のためにご自身としても何をしなければならないのか、考えていただければ幸いです。

私は本当はウナギが大の好物なんですけどね。

でもウナギ資源の現状と、ウナギをそのように絶滅の淵にまで追いやっているのが他ならぬ、私のような“ウナギ好き”の一般消費者なのだということを知って以来、ちょっと食べる気がしなくなりました。実は先日もある会合に“お呼ばれ”で行きまして、ウナギを出されて食べたのですが(そりゃ、別に宗教上の問題で食べられないというわけでもありませんので、招待された会食の場で「食べたくありません」というのは失礼ですから。苦笑)、全く「美味しい」と思えなくて悲しくなりました。味はもちろん“美味しい”には違いないのですが、こうして自分がまた(意図したものではなかったとしても)ウナギの絶滅に手を貸すのかと思うと、喉を通らなかったのです。

ウナギ資源の現状が多くの人に知られて、一刻も早く、スーパーや牛丼店などの店頭から、安売りのウナギがなくなれば良いと思います。そうして心置きなく、「美味しい鰻」を食べたいものです。


* * * しつこく【 P R 】(^_^;; * * *

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みんなで少しずつ、勝手にゴミ拾いをすることで、
わずかずつでもキレイな海を取り戻しましょう。

* * * 【 P R 】 * * *


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